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  教科書検定とは、主に4年毎に文部科学省が学校で使われる教科書を検定・修正する制度のことである。それを通ったもののみ、各学校で使用することが出来るようになる。この制度は健全に機能していれば全く問題がないのだが、どうにもさまざまな問題と絡んでしまっているのだ。

  今年は学習指導要領が刷新されて教科書が大きく変更されたため、検定が行われた。問題は特に社会科である。いわゆる「自虐史観」という、日本を絶対的な悪者と位置づける歴史教科書や、政治的に偏向した公民教科書などが、検定をパスしてしまっている。

  ここでは、以下の3つの産経新聞の記事から引用する。

http://sankei.jp.msn.com/life/news/110330/edc11033021330011-n1.htm

http://sankei.jp.msn.com/life/news/110330/edc11033022110015-n1.htm

http://sankei.jp.msn.com/life/news/110330/edc11033021560014-n1.htm

 

  まず、いわゆる「南京事件」についてである。言うまでもなく、今では本当に虐殺があったのかすら怪しいと言われているものであり、敢えてこれを取り上げるというのは、定型化した「旧日本軍は悪者」「大日本帝国は侵略者」というイメージを子供にすり込むためでしかない。だが、「『女性や子どもなど一般の人々や捕虜をふくむ多数の中国人を殺害した』『この事件は、南京大虐殺として国際的に非難されたが…』(東京書籍)のように『南京大虐殺』の言葉を使った教科書が依然ある①」というのである。こういう嘘こそ、検定で排除するべきであろう。

  また、「豊臣秀吉が明(現在の中国)進出を目指した朝鮮出兵について、「朝鮮侵略」などと記述。民衆が殺害されたことなどを強調する一方で、日本が中国側から侵攻を受けた鎌倉時代の『元寇』については『日本遠征』『上陸』『襲来』(清水書院など)と表現した①」。これはダブルスタンダードであろう。何時の間にか「朝鮮出兵」が「朝鮮侵略」に代わっているようだ。そこまで日本=侵略を教えたいのだろうか。

  そしてこのような左傾化した記述の検定通過に対して、逆に「正常」と言える記述が削除されたという。「育鵬社の歴史教科書では、東京裁判(極東国際軍事裁判)についてのコラムの中で、日米戦争を行った日本に、一定の理解を示したマッカーサーの証言部分に検定意見を付けた。米上院軍事外交合同委員会で、日本について「彼らが戦争に飛び込んでいった動機は、大部分が安全保障の必要に迫られてのこと」と証言した事実を掲載、戦勝国側が敗戦国を裁いた裁判をめぐる議論に一石を投じる内容だったが、検定の結果、削除された②」。このエピソードは知っている人も多いかも知れない。

 

  『潜在的に、日本の擁する労働力は量的にも質的にも、私がこれまで接したいづれにも劣らぬ優秀なものです。歴史上のどの時点においてか、日本の労働者は、人間は怠けている時よりも、働き、生産している時の方がより幸福なのだということ、つまり労働の尊厳と呼んでも
よいようなものを発見していたのです。これほど巨大な労働力を持っているということは、彼らには何か働くための材料が必要だということを
意味します。彼らは工場を建設し、労働力を有していました。しかし彼らは手を加えるべき原料を得ることができませんでした。日本は絹産業以外には、固有の産物はほとんど何も無いのです。彼らは綿が無い、羊毛が無い、石油の産出が無い、錫が無い、ゴムが無い。その他実に多くの原料が欠如している。そしてそれら一切のものがアジアの海域には存在していたのです。もしこれらの原料の供給を断ち切られたら、一千万から一千二百万の失業者が発生するであらうことを彼らは恐れていました。したがって彼らが戦争に飛び込んでいった動機は、大部分が安全保障の必要に迫られてのことだったのです』 

 

  大東亜戦争が日本の自衛戦争であったことを、マッカーサーが間接的に認めている貴重な発言なのだ。しかし、これを教科書に書いたところ検定意見がついて削除された。これはおかしな話である。なぜ日本を賛美(というよりただの事実だが)するような内容は書いてはないけなくて、貶める内容ならば良いのか。普通なら逆だろう。大東亜戦争全面肯定論を展開しても良いではないか。中共や朝鮮に配慮したとしか思えない。

  さらに、「日中戦争で日本が南京を占領した際について『中国の軍民に多数の死傷者が出たことが、のちに『南京事件』として宣伝されるもとになった』とした自由社の歴史教科書の記述にも、検定意見を付けた。これまで中国側の宣伝する犠牲者数などをあげ誇大に取り上げられてきた『南京事件』に疑問を呈する記述だったが、文科省は『南京事件について誤解するおそれがある表現』として修正を求めた。そのほか、中国のチベット弾圧や中台問題についても、検定意見がついた②」という。どこの国の教科書なのか、ため息が出てくる。

  公民では、「外国人参政権」について問題があったという。「外国人参政権については、在日韓国人・朝鮮人に対する『差別』関連の項で取り上げた教科書がほとんど。『選挙権はなお制限されている』(日本文教出版)、『世界には…地方自治への参政権を認める国もある』(帝国書院)などと、明らかに賛成意見に基づいた記述になっており・・・③」ということだ。なぜこのような教科書が検定を通過できるのか理解に苦しむ。議論のある政治的問題について教科書で洗脳することを認めて良いのだろうか。とんでもない暴挙であろう。

  これらは産経新聞の記事から引いただけだが、恐らく問題のある記述は他にもたくさんあるだろう。フランス革命を賛美していたり、人権だの平和だの差別だのを宣伝していたり。教科書には注意して向き合わねばならない。